AIに仕事を奪われた世界で、ホテルの掃除婦として、殺されたゾンビの亡骸を集めて回る女性の話。現実から少しずれた世界を描いた作品です。
2020年代 18作
ある家とそこで暮らした人たちの時間を、建物を描くようにして書きとめた作品。人がいた証を残そうとする小説です。
「先生」に出会った公務員の早野ひかるが、銅鐸や土地の歴史を学ぶうちに、その土地が抱えてきた過去に触れていく話です。
南の島で撮影される恋愛リアリティ番組を舞台に、出演者や関係者の姿を描いた作品です。
ゲーテ研究者が、食卓で出会った出典の分からない「ゲーテの名言」を探して、文献と自分の記憶をたどっていく話です。
一つの身体を分け合って生きる姉妹の日常を描いた作品。隣にいるもう一人の自分とは誰なのか、という問いが続きます。
建物の修繕会社に勤める男が、社内の登山部に入り、道のない山を歩く先輩の「バリ山行」に惹かれていく話です。
新しい刑務所となる塔の設計を任された建築家を中心に、言葉と社会のあり方を描いた作品です。
重い障害をもつ女性の身体と欲望を、本人の強い言葉で描いた作品。発表されたとき大きな話題になりました。
ショッピングセンターの喪服売り場で働く女性と、フードコートに通う少女の交流を、「あなた」と呼びかける形で描いた作品です。
大きな災害から十数年、仕事道具も妻も失った植木職人の男が、答えの出ない問いを抱えて生きる姿を描いた作品です。
職場の3人の男女の関係を、食べものをめぐるやりとりから描いた作品。読みやすいのに、あとから不穏さが残ると言われます。
自衛隊を辞めて自転車便の仕事をする青年が、自分の中の怒りを抑えられずにいる姿を描いた作品です。
ドイツの学術都市で暮らす女性のもとに、震災で行方不明になった知人が現れる話。記憶と喪失を描いたデビュー作です。
記憶をなくして島の浜辺に流れ着いた少女と、島の少女の出会いを描いた作品。島で話される独自の言葉が印象に残ります。
沖縄の小さな資料館で記録の整理を手伝い、遠くの人たちにクイズを出す仕事もしている女性の話です。
体を鍛え、公務員試験を目指して規則正しく暮らす大学生の日々が、少しずつ崩れていく話です。
受賞作なし:第173回(2025年上半期)
2010年代 25作
長崎の島にある母の実家の納屋の草刈りに行く一家の話に、その島で過去に生きた人たちの話が重なっていく作品です。
近所で「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方ない「わたし」が、彼女を自分の職場に誘いこむ話です。
仮想通貨を「採掘」する仕事をする男と、恋人、小説家になれなかった同僚の3人を描いた作品です。
デビュー戦に勝ったあと負けが込んでいるプロボクサーが、新しいトレーナーと次の試合に向かう話です。
東北の山あいの町に転校した中学3年生の少年が、同級生たちの暴力的な遊びに巻きこまれていく話です。
南インドの街で日本語を教える女性が、百年に一度の洪水が残した泥の中から、さまざまな記憶が現れるのを見る話です。
夫に先立たれて一人で暮らす74歳の桃子さんの頭の中で、東北弁の声たちがにぎやかに話しはじめる作品。映画にもなりました。
会社の出向で岩手に移り住んだ男が、釣り仲間になった同僚のことを思い返す話。震災が背景にあります。
19歳の青年が、北の「谷」で俳優や脚本家を目指す若者たちと自給自足の共同生活を送る話です。
専業主婦の「私」が、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気づく話です。
大往生した男の通夜に集まった親戚たちの一晩を、何人もの視点から描いた作品です。
「早く死にたい」とこぼす祖父の願いをかなえようと、孫の健斗がある計画を思いつく話です。
幼い息子を連れて、海辺の小さな集落に戻ってきた女性の話。表題作ほか、同じ土地を舞台にした作品が収められています。
取り壊しの近いアパートに住む男が、隣の家に強い関心をもつ女性と知り合う話です。
夫の田舎に移り住んだ女性が、黒い獣を追って土手の穴に落ちたことから、不思議な出来事に出会っていく話です。
父の再婚相手を、三歳の娘が「あなた」と呼んで語っていく作品。静かで怖い話として知られます。
昭和の家庭に生まれた一人の子どもの成長を、固有名詞をほとんど使わない独特の書き方で描いた作品。作者は75歳で、芥川賞の史上最高齢の受賞者になりました。
母と弟から逃れて結婚した女性が、夫と一緒に、子どものころ家族で訪れた海辺のホテルを再び訪ねる話です。
17歳の遠馬が、暴力をふるう父と同じ血が自分にも流れているのではないかと恐れる話。重い場面を含みます。
架空の言語で書かれた小説と、多言語作家をめぐる話が連なっていく、実験的な作品です。
19歳で日雇いの仕事を続ける北町貫多の、劣等感と怒りに満ちた日々を描いた私小説です。
葉山の別荘で同じ時間を過ごした2人の少女が、25年後、別荘の解体をきっかけに再会する話です。
外国語大学でドイツ語のスピーチコンテストに向けて『アンネの日記』を暗記する女子学生と、学内の噂をめぐる話です。
受賞作なし:第145回(2011年上半期)
2000年代 22作
ある男と妻の、結婚してからの長い年月を、時間を大きく飛び越えながら描いた作品です。
工場で働く29歳のナガセが、年収と同じ額の世界一周旅行に心を動かされる話。働くことを描いた小説です。
中国の村から大学に進んだ2人の若者が、天安門事件のあと、それぞれの道を歩いていく話です。
豊胸手術を受けたいと思いつめる姉と、言葉を話さなくなった姪が、大阪から東京の妹のもとへやって来る話です。
行方をくらました叔父が残したノートから、彼の言葉へのこだわりをたどっていく作品です。
20歳の知寿が、71歳の吟子さんの家に居候して過ごす1年を描いた作品です。
離婚を控えた男が、自動販売機に飲みものを補充する仕事の車内で、同僚に結婚生活のいきさつを話していく話です。
同期入社の友人が亡くなり、生前の約束を守るため、彼の部屋に忍びこむ女性の話です。
子どものころ親に捨てられ、暴力を受け続けた記憶を抱えるタクシー運転手の話です。
家族も仕事も失った男が、故郷の町に戻ってからの日々を描いた作品です。
寝たきりの祖母を自宅で介護する29歳の男の日々を、勢いのある語りで描いた作品です。
クラスの余り者同士のハツと、アイドルに夢中な同級生・にな川の、友情とも恋ともつかない関係を描いた作品。綿矢りさは19歳で、芥川賞の史上最年少の受賞者になりました。同時受賞の金原ひとみも20歳で、若い2人の受賞が話題になりました。
舌を二つに割る「スプリットタン」の男と出会った19歳のルイが、身体の改造にのめりこんでいく話です。
高校の倫理教師が、アパートに押しかけてきた女性と暮らしはじめ、少しずつ崩れていく話です。
港町で暮らす34歳の女性が、頼りない老人と一緒に暮らすようになるまでの話です。
公園のベンチで、地下鉄で話しかけてしまった女性と再会した男の、昼休みのような日々を描いた作品です。
小学6年生の慎が、結婚をほのめかす母や、その恋人らしき男と向き合う日々を描いた作品です。
亡くなった霊能者の老女をきっかけに、僧侶がこの世とあの世のあいだについて考えていく話です。
フランスに滞在中の男が、旧友との再会と小さな旅の中で、人とのつながりについて考える話です。
死の近い父が、詐欺師と呼ばれる幼なじみに救いを求める話。長崎を舞台にした作品です。
地上げ屋になった中年の男が、古いアパートに居座る奇妙な男と酒を飲みながら、過去を思い出していく話です。
働くのが嫌いで、金に困っている絵描きの「俺」の日々を、勢いのある語りで描いた作品です。
受賞作なし:第142回(2009年下半期)
1990年代 22作
受賞作なし:第121回(1999年上半期)、第118回(1997年下半期)、第112回(1994年下半期)
1980年代 16作
受賞作なし:第101回(1989年上半期)、第96回(1986年下半期)、第95回(1986年上半期)、第93回(1985年上半期)、第91回(1984年上半期)、第89回(1983年上半期)、第87回(1982年上半期)、第86回(1981年下半期)、第83回(1980年上半期)
1970年代 27作
受賞作なし:第80回(1978年下半期)、第76回(1976年下半期)、第71回(1974年上半期)、第65回(1971年上半期)
1960年代 18作
受賞作なし:第60回(1968年下半期)、第55回(1966年上半期)、第52回(1964年下半期)、第48回(1962年下半期)、第45回(1961年上半期)
1950年代 17作
受賞作なし:第42回(1959年下半期)、第40回(1958年下半期)、第36回(1956年下半期)、第30回(1953年下半期)、第27回(1952年上半期)、第24回(1950年下半期)
1940年代 12作
受賞作なし:第15回(1942年上半期)、第11回(1940年上半期)
1930年代 12作
受賞作なし:第2回(1935年下半期)
本屋大賞でも上位に入った芥川賞受賞作
書店員が選ぶ本屋大賞と、作家が選考委員を務める芥川賞。選ぶ人も基準も違う2つの賞で、どちらにも名前が挙がった作品です。
- 『推し、燃ゆ』宇佐見りん:芥川賞 第164回/2021年本屋大賞 9位
- 『コンビニ人間』村田沙耶香:芥川賞 第155回/2017年本屋大賞 9位
- 『火花』又吉直樹:芥川賞 第153回/2016年本屋大賞 10位
芥川賞とは
芥川賞(芥川龍之介賞)は、日本文学振興会が年に2回選ぶ文学賞です。雑誌に発表された、新進作家による純文学の中編・短編が対象です。このページでは、受賞作を新しい順に年代ごとに並べています(受賞作なしの回が33回あります)。2000年以降の作品には短い紹介を付けました。
受賞作・回・出版社(掲載誌)は、主催する日本文学振興会の受賞者一覧で確かめました(2026年9月24日)。Kindle版の有無は同じ日にAmazonで確認したもので、変わることがあります。