秋の山。谷底の岩の上でうずくまっていた女子大生の杳子に、山歩きをしていた「彼」が声をかけます。杳子は、心を病んでいました。街に戻ってから二人は会うようになり、「彼」は杳子の不安定な心のありように、深く引きこまれていきます。文庫では「妻隠」と一冊になっています。
心を病んだ人の内面を、ここまで細かく見つめた文章はない、という感想が多く見られます。上品な文体で、愛や欲望や迷いが、さまざまな言い方で描かれていく。読み終えてからじわじわと胸に迫ってくる作品だった、という人や、読んでいてめまいを感じるほどだった、という人もいました。
描写がリアルすぎて、読むのが苦しく疲れた、という声があります。「彼」の、観察しているような距離の取り方が不愉快だった、話の展開が単調だった、という人もいました。ゆっくり一文ずつ味わう読み方が合っている作品です。
ブクログでは2,100人以上が本棚に登録しています(『杳子・妻隠』新潮文庫版)。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。