子どもはおらず、働きにも出ず、夫と気楽な暮らしを送る専業主婦のサンちゃん。ある日ふと、自分の顔が夫の顔にそっくりになってきていることに気づきます。一緒に暮らすうちに、夫婦の輪郭がだんだん溶け合っていく。そんな少し奇妙な話が表題作です。ほかに「藁の夫」など短い話が3つ入っています。
「世にも奇妙な物語みたいで面白かった」という感想がよく似合う本です。夫婦の間にある違和感や不穏さを、軽いユーモアで描いているところがいい、という声が多く、読みやすいのに気づいたら不気味な世界に連れていかれている、と話す人もいました。「蛇ボール」という比喩が忘れられない、という人も少なくありません。
結末や表現が分かりにくく、戸惑いが残った、という声もあります。最後に失速したように感じた人もいました。結婚している人、長く誰かと暮らしている人ほど、読み終えてからじわじわと怖くなってくるのかもしれません。
ブクログでは2,000人以上が本棚に登録しています。第154回は、滝口悠生『死んでいない者』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。