仕事を辞めて、夫の実家がある田舎に引っ越してきた「私」。夏の暑い日、見たこともない黒い獣を追いかけていった「私」は、川べりの穴に落ちてしまいます。そこから、義理の家族の周りに、奇妙な人たちが次々と現れはじめる。表題作のほかに、短い話が2つ入っています。
不穏な空気の描き方がいい、という感想が多い本です。昼間の田舎の、じりじりした暑さや草いきれ。何も変わったことは起きていないようで、どこかがずれている。はっきりした説明をしないまま終わる余韻を味わった、という人もいました。気がついたら自分も本の中の「穴」に落ちていた、という言い方をした人もいます。
結末があいまいで、登場人物の気持ちが分からなかった、という声もあります。ホラーのような雰囲気なので、謎の答えを期待すると肩すかしに感じるかもしれません。夏の日の、少し怖い白昼夢を見るつもりで読むのがよさそうです。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。