昭和37年、富山。14歳の竜夫は、病に倒れた父を見守りながら、同級生の英子への淡い思いを胸に、一年を過ごしていきます。父の事業の失敗、友だちの死。いくつもの別れを経た竜夫は、ある夜、英子や母と一緒に、螢の大群が舞うという川へ向かいます。文庫では、大阪の川辺を舞台にした「泥の河」と一冊になっています。
感想でまず語られるのは、情景描写の美しさです。見たこともない景色なのに絵が浮かんでくる、という声がたくさんあります。とくに最後の螢の場面は、忘れられない、映像のようだった、という人がとても多いです。戦後の懐かしい空気と、人生の喜びと悲しみが一緒に描かれている、と受け止めた人もいました。
富山の方言にとまどった、全体に重くて暗い、という声もあります。けれど、その暗さがあるからこそ、最後の光がまぶしく感じられる、という人が多いようです。夏の夜に読みたい一冊です。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。