南インドのチェンナイで、日本語教師として働く「私」。百年に一度という大洪水のあと、川の上の橋を渡っていると、流れてきた泥の中から、ありとあらゆるものが出てきます。ウイスキーの瓶、人魚のミイラ、大阪万博の記念コイン。そして、泥の中から現れたものをきっかけに、それぞれの人の過去があふれ出していきます。
酔ったような、幻を見ているような読み心地を楽しんだ、という感想が多い本です。現実と作り話の境目がないまま話が進んでいき、ユーモアと深刻さが入り交じる。インドの街の空気が伝わってくる、不思議な異国情緒がある、という声もありました。
話も文章もごちゃごちゃしていて頭に入ってこなかった、という人もいます。語り口のノリが合うかどうかで、好みがはっきり分かれそうです。短めの作品なので、橋の上で次々に起こることを眺めるつもりで、一気に読むのがいいかもしれません。
ブクログに感想が寄せられています。第158回は、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。