ある朝目を覚ますと、自分の名前がなくなっていた。名前を失った男の前で、名刺が勝手に「自分」になりすまし、身の回りのものたちが反乱を起こしはじめる。芥川賞を受けた第一部「S・カルマ氏の犯罪」のほか、影を狸に盗まれて透明になってしまう詩人の話「バベルの塔の狸」、短い話を集めた「赤い繭」の三部からなる本です。
いまも古びない不条理の世界だ、という感想が多く見られます。ありえない設定なのに、なぜか圧倒的に現実味がある。自分とは何か、名前とは何かを問われているようだった、という声もありました。カフカのようでいて、どこか明るさがある、と感じた人もいます。
難しすぎて理解できなかった、という声もあります。三部それぞれの味わいが違うので、好きな部分と合わない部分が分かれた人もいました。短い「赤い繭」から読んでみて、この世界になじめるか試してみるのもいいかもしれません。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。