戦争を経験した父・重之。先妻とのあいだの息子の貢と暁、後妻の志津子が連れてきた娘の沙恵、そして夫婦のあいだに生まれた美希。母の死をきっかけに、この込み入った家族の一人ひとりが抱えてきたものが、章ごとに語り手を変えながら明かされていきます。
家族の一人ずつに視点が移っていく書き方に心を動かされた、という感想が多く見られます。同じ家で暮らしていても、見えている景色はまるで違う。兄妹のあいだの許されない恋や、それぞれの結婚、子育ての悩みが、一つの家族の中で重なっていきます。最後の章で父の若いころが語られ、家族の話が一気に深くなった、と感じた人もいます。
父の暴力や身勝手さが、戦争の経験で片づけられているように感じて違和感があった、という声があります。最後の章が唐突に思えた、いじめの場面の後味が悪い、という人もいました。重い題材が多いので、じっくり向き合える時期に読みたい本です。
ブクログでは6,000人以上が本棚に登録しています。第129回は、石田衣良『4TEEN フォーティーン』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。