「巷説百物語」シリーズの3作目です。時代は明治10年。文明開化の世の中で、不思議な事件に首をかしげた巡査たちが、隠居の老人・一白翁を訪ねます。一白翁が語りはじめるのは、江戸のころ、御行の又市たちと過ごした日々の話。怪異に見せかけて事件を収めていった、あの仲間たちの思い出です。
シリーズを読んできた人ほど心を動かされている本です。とくに最後の話「風の神」の評価が高く、シリーズの締めくくりとして胸に迫った、という声がたくさんあります。江戸から明治へ、時代が移り変わってしまったあとに語られる思い出だからこそ、寂しさと温かさがある。一白翁の、又市への思いが切ない、という感想も目立ちました。
各話の導入で一白翁のもとに集まる若者たちが印象に残りにくく、テンポが悪いと感じた人もいます。又市たちが思い出の中にしか出てこないのが寂しい、という声もありました。シリーズの1作目『巷説百物語』から順に読むのがおすすめです。
ブクログに感想が寄せられています。第130回は、江國香織『号泣する準備はできていた』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。