12の短い話が入っています。濃い恋が終わったあとの時間、何かを失ったあとの気持ち。独身の人も結婚している人も、若い人もそうでない人も、さまざまな女性たちの心の揺れを、江國香織さんらしい静かな文章で描いています。
好きな人がまず挙げるのは、文章の美しさです。日常のなにげない瞬間を切り取る言葉が繊細で、短いのに長く余韻が残る。「私は独身女のように自由で、既婚女のように孤独だ」という一文を心に留めている人もいました。好きな話としては「熱帯夜」「住宅地」「じゃこじゃこのビスケット」「溝」などが挙がっています。
題名から涙を誘う話を想像すると、まったく違う本です。はっきりした起承転結やオチがなく、何も起こらないと感じた人が多く、評価は割れています。筋を追うより、ひとつの気分に浸るつもりで読む短編集です。寝る前に一編ずつ、という読み方をしている人もいます。
ブクログには1,000件を超える感想が寄せられています。第130回は、京極夏彦『後巷説百物語』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。