妻のなずなに裏切られ、半ば投げやりになっていた宇津木明生。やがて明生は、会社の女性上司が見せていた小さなしるしに気づき、心を惹かれていきます。表題作と「かけがえのない人へ」の2つの話が入っています。
感想で多く語られているのは、理屈では説明できない惹かれ合いの描き方です。損得や打算ではなく、この人でなければならない、という気持ちはどこから来るのか。大人の恋愛について考えさせられた、という声がよく見られます。登場人物の台詞を書き留めている人もいて、心に残る言葉の多い本のようです。
登場人物が恵まれた立場にいる人ばかりで、共感しにくかった、という声があります。性にまつわる表現が合わなかった、結末に納得できなかった、という人もいました。恋愛の理想より、うまくいかなさを描いた本だと思って読むと、受け止めやすいかもしれません。
ブクログでは3,000人以上が本棚に登録しています。第142回は、佐々木譲『廃墟に乞う』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。