昭和のはじめ、東京の郊外に建つ赤い三角屋根の洋館。山形から出てきた少女タキは、この家で女中として働きはじめます。美しい奥様の時子と、その家族との穏やかな日々。晩年のタキがノートにつづる回想の形で、戦争の影が濃くなっていく時代の暮らしが描かれます。
感想で多いのは、昭和初期の東京の日常が美しい、という声です。戦争の時代と聞いて思い浮かべる暗さとは違って、家庭の中には温かく満ち足りた時間がある。その暮らしぶりに、懐かしさと新しさを同時に感じた、という人がたくさんいます。そして最後の章で明かされることに、心をつかまれた、構成が見事だった、という声が目立ちます。
前半は淡々と日常が続くので、退屈に感じた人もいます。はっきり書かれない部分が多く、読んだ人によって解釈が分かれるところもあります。そこを想像する余白を楽しめるかどうかで、印象が変わりそうです。
ブクログに750件を超える感想があります。映画化もされました。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。