昭和のはじめの東京。士族の家の令嬢・花村英子と、英子の家の運転手を務める女性・別宮みつ子、通称ベッキーさん。二人が身の回りの小さな謎を解いていく「ベッキーさん」シリーズの3作目で、最後の巻です。3つの短編が入っています。
好きな人が口をそろえて言うのは、昭和初期の上流の暮らしの空気がいい、ということです。言葉づかいや装い、街の様子まで、読んでいるとその時代に入りこんだ気持ちになる。ベッキーさんの凛とした佇まいにも人気があります。そして最後の話の幕切れに、背筋がぞくりとした、という感想がとても多いです。時代が大きく動こうとする瞬間を、少女の目から描いた終わり方が、長く心に残るようです。
3作目なので、前の2作『街の灯』『玻璃の天』から順に読むほうが、英子の成長も含めて楽しめます。この巻だけだと人物関係がつかみにくいかもしれません。謎解きそのものより、時代の空気を味わうシリーズです。
ブクログでは2,000人以上が本棚に登録しています。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。