武家の若者・葛西馨之介は、18年前に亡くなった父の過去を背負って生きています。ある日、藩の重役たちから、中老の暗殺を命じられる。命じられるまま刃を振るったそのあとで、馨之介は、父の死の本当の意味と、母が抱えてきたものを知ることになります。文庫には表題作のほか「黒い縄」「ただ一撃」「溟い海」「囮」が入っています。藤沢周平さんの初期の作品集です。
人の心の動きという、形のないものの描き方に引きこまれた、という感想が多い本です。とくに女性の心の揺れの描写が細やかで、話の運びのうまさにも驚かされた、という声がありました。好きな話としては「ただ一撃」や「黒い縄」がよく挙がっています。
表題作よりほかの作品のほうがよかった、という人もいます。後年の作品に比べて、どこかじっとりとした重さがある、という声もありました。藤沢作品の原点にふれたい人に向いている一冊です。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。