上野の「カフェー西行」に集まった女給たちの話です。大正の終わりから戦後まで、5つの短編で一人ずつ主人公が入れ替わっていきます。前の話で脇にいた人が、次の話では真ん中に立つ。その入れ替わりが気持ちいい、という感想をよく見かけます。
時代だけを見ると、戦争をはさむ重い時期です。それでも読み終えた人の言葉は明るくて、「じんわり心が温かくなった」「クスッと笑えて、最後に少し泣いた」といった声が並びます。暮らしのこまごましたところに笑いがあり、女性たちがしぶとく、朗らかに生きている。そこに惹かれた人が多いようです。
装丁のきれいさに触れている人もちらほらいて、手元に置いておきたくなる本、という受け止め方もあります。
はっきりした否定の声はほとんど見当たりませんでした。強いて言えば、大きな事件が起きる話ではないので、展開の派手さを求める人には穏やかすぎるかもしれません。短編ごとに区切りがあるので、少しずつ読み進めたい人には向いています。
ブクログには900件を超える感想があり、評価も高めで安定しています。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。